作ると食べるをつなぐ
わたしの食卓
今回はCSA LOOPで大切にしている、年間購入や不作のリスクシェアの考え方について、東品川のNOG COFFEE ROASTERS(品川区東品川1丁目)を拠点にするコミュニティから、メンバーの深代(ふかしろ)さん、Microbe -Natural Farmers-(マイクローブ)の追立(おいたて)さんのお二方にお話を伺います。
フィットネス関係のお仕事をされていた深代さん。CSA LOOPに参加をしたのには、どんな思いがあるのでしょうか。はじめに深代さんご自身のことについて探るべく、普段の食生活や食卓についての考え方をお伺いしました。
深代さん:私が結婚をしたころはオレンジページが人気になり始めた頃で、毎回買って張り切って作ったりしていました。フィットネス業界にずっといたので、運動だけでなく食生活にも興味がありますね。女子栄養大学の『栄養と料理』を毎回読んだり講座を受けてみたりしました。
これだけお伺いした限りでも、食に丁寧に向き合っている印象を受けました。この深代さんの食への関心はどこから来ているのでしょうか。ご自身の生い立ちや実体験が影響しているのでしょうか。
深代さん:私の食に対するターニングポイントは2011年の震災です。地震発生時は広尾の都立図書館で調べ物をしていました。自宅まで地図上は5km弱の距離でしたが、歩いて帰りました。公共交通機関を利用して行きたいところに行けることや、お店の棚に品物が揃っていることは、とても恵まれていてありがたいことだと気付かされました。
深代さん:その時、近所の八百屋がまだ開いていて、なぜか大根を1本買って帰りました。大根なら生でも食べられるし日持ちもするしと思ったのでしょうね。計画停電も免れて、エレベーター復旧までに数日要したこと以外は特に被害はなかったので、その分いろいろ考えることができた気がします。
深代さんだけでなく、震災が食との関わり方を考えるターニングポイントになっている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。また、多くの方が地域コミュニティの重要性を再認識するきっかけにもなったと思います。CSA LOOPもまた、有事の際にこそ機能する地域コミュニティになりうると考えているため、防災の観点でも生産との関わりを持つことは大切だと考えています。
深代さん:お料理に関しては、10年前くらいに土井善晴さんの本を読んだことが、まさに目から鱗でした。ご飯って外で食べるとコンセプトや雰囲気がしっかりしているので家庭でのお料理もそれがスタンダードになってしまいがちですが、家庭料理は自由で良いんだ、家だからできる組み合わせがあるんだという価値観に感動したんです。それまでは和食なら和食、洋食なら洋食というように、食卓をしっかりと作らないといけないという思い込みがあって、どこか頑張って作っていました。
お料理や食卓のあり方を考えていく中で、ご自身でも〝せっかく作るならおいしいものを作りたい〟、〝お料理の幅も広がったら〟という思いが大きくなっていったと言います。深代さんのお料理への強い興味はどこにあるのでしょうか。さらに紐解くと、純粋に食を楽しむ姿が見えてきました。
深代さん:やっぱり、味わうって自分の中で大きな楽しみになっていて、甘いとかしょっぱいとか、硬いとかわらかいとか一口一口味わうことで感じる違いがおいしいなのかなと思います。時間がない時はそこまでできないので、味わえる時はそこは大事にしていますね。
味わったり丁寧にお料理をするにはある程度の時間が必要ですが、深代さんはその時間を確保しているのでしょうか?
深代さん:そういうことができるのはひまだからです(笑)別の趣味があるので、特別お料理の時間を確保しているわけではないのですが、作りたい波がありますね。おいしい食材見つけたら作りたいし、おいしそうなレシピを見たらチャレンジしたくなるんです。
そんな中、たまたまCSA LOOPを知ったそうですね。率直にどんな印象を持ちましたか?
深代さん:そうです。CSA LOOPを知ったのは、たまたまジム帰りでNOG COFFEEさんに寄ったときに、野菜の販売をしているのを見かけたのがきっかけです。知った時は、面白そうだなと思って、その時にはもう、半分入ろうと思っていました。
深代さん:実は普段から、定期的に農産物の取り寄せをしたりコーヒーのサブスクリプションに登録していることもあり、野菜を定期的に受け取ること自体は自然でした。
CSA LOOPは年間購入で一年分のお野菜を先払いし、拠点で農家さんから直接受け取るという方法をとっています。野菜の年間購入はまだまだ新しい考え方かもしれません。年間購入という購入方法についての印象を伺うと、暮らしの一つの選択肢として理解をされているように感じました。
深代さん:正直、始めは、抵抗はありましたね。けど、よく考えてみると、お互いに結びつきがはっきりするのでお互いに安定する感覚だなと思ったんです。お野菜はいつも食べるものだし、どうせスーパーで買うなら、来てくださるタイミングもわかっていて直接お話ができるのも良いかなと思いました。
深代さんは年間購入を受容するだけでなく、CSA LOOPでお野菜を受け取ることについて、作り手との年間のお付き合いという結びつきがあるからこその良さを実感されているようでした。
深代さん:年間購入は贅沢なことだと思います。朝採れの鮮度がすごく高いお野菜なんて、自分で菜園を持っていない限り、都会に住んでいると難しいですよね。自分はそこまでできないので、その日に収穫したお野菜がご本人から受け取れるのはありがたいですね。
深代さん:そして、そこでおいしいものの味を知ってしまうと、普通にスーパーで買えなくなります。並んでいるお野菜を欲しいと思えないというか、光って見えないというか、いい言葉が見つかりませんが、ワクワクしないんです。そうすると、お料理もなんとなくになって楽しくなくなってしまうんです。
深代さんのお野菜に対するワクワクは身近な〝お野菜〟だからこそ大切にしたい感情なのかもしれません。そういった身近なものを大切にしてワクワクできる暮らしは素敵ですね。
野菜を作って畑を売る
コミュニティでは、神奈川県大和市の農家であるMicrobe -Natural Farmers-の追立さんが毎月NOG COFFEE ROASTERSにその日の朝に収穫したお野菜を持ってきています。お野菜は収穫後、蛍が飛ぶ地元の沢で丁寧に洗い、直接食べ手のもとへ届けられます。
まずは追立さんご自身のことから、農業に対する考え方などをお伺いしていきます。
追立さん:自分はもともと高卒ですぐに就職したのですが、その時の仕事は流れで就職したところで、収入を得るためにやっていましたし、自分でなくてもいい仕事だなとも思っていたので、口は悪いけど、クソだ!と思っていましたね。また、もともと兄がサーフィンをしていたということもあって、自然とサーフィンがカルチャーとしてあったんです。サーフィンをする中で、なんとなく海に漂うごみが気になったりして、環境問題に関心を持ち始めたり、サーフポイントに結構原発があるので、そうしたことにも意識をするようになりました。
そして、当時30歳の2011年、東日本大震災が発生しました。その時、深代さん同様に食への危機感を感じたと言います。
追立さん:なぜ農業だったのかと言うと、母方の実家が栃木で農家だったことと、同時に震災を通して、生き物である限りは食べ物は大事で、それを自分で作り出せないことに危機感を感じましたからですね。そしてタイミングとしてもたまたま、シェアガーデンが近所で始まったことを知り、まずは自分の区画を借りて家庭菜園をはじめることにしたんです。農業は、家庭菜園も含めると震災後の2011年からやっていることになりますね。
農業をする上で大切にしていることはありますか?
追立さん:野菜を売っているというよりは自分の畑のくくりを販売している感覚ですね。分かりやすく言うと、栽培するラインナップなどにはこだわっていません。だからキャベツはやっていないんです。もっと言うと、野菜じゃなくても、人の生活に必要なもので環境負荷をかけずに健康にも良いものがやれればいいんだと思います。ただ、野菜はいろんな種類のものを作れるし、年中とれるから、自分の考え方を表現しやすいし、それを伝え続けられる。野菜なら、毎週買ってもらう時に、環境問題などの話をすることができるじゃないですか(笑)
続いて、栽培のこだわりについてお伺いすると、〝コミュニケーション〟という言葉が出てきました。
追立さん:極力何も入れないようにしています。たしかに肥料を入れないと大きさなどにもばらつきは出ますし、形も不揃いになりやすいです。市場での商品性は低いかもしれませんが、そこのギャップを解消するためのコミュニケーションが大切だと思っています。そして、その方法の大きな一つがCSAなのではないかと思います。
買い手が求める商品性に沿ったものをどうしたら生産できるかではなく、買い手に作り手の思いを伝えながら理解を得ていくことが大事だと語ります。その結果、直販やCSAという選択になることは自然なことなのかもしれないですね。
追立さん:サーフィンをしにいったハワイ、アメリカ、インドネシアなどでは、マルシェでは裸で野菜が並んで、だいたい萎びている光景が印象的でした。当時は正直貧相だなと感じましたが自分が野菜を作り始めてから考え方が変わりました。
追立さん:以前は包装や梱包について、日本は金持ちだからツールが豊富で包装が十分に施されているんだという思い込みに近いものがあり海外はそうではないというだけの問題なんだと思っていたのですが、究極にシンプルで時間的なコストなど合理的に考えると包装をしないという方法は賢い選択なのではないかと認識が変わりました。
追立さん:今はむしろ、それでいいんだと思えます。
受け渡し当日は、CSA LOOPのメンバーへ受け渡すお野菜セットは収穫したままの姿のものを新聞に包みお渡しをしていました。CSA LOOPの取り組みの中で食べ手との近い距離感だからこそ、コミュニケーションを取りながら実践をしていける場になっていると言います。
追立さん:商品性を保つだけの目的で、すごくがんばって何かをするということにはあまり関心はなく、そういうものなんだという価値観を共有できる人が増えるのがいいなと思っています。買い手の価値観の部分を丁寧に変えていくこと、流れを作っていくことが近道なんじゃないかなと思っています。そしてそれをダイレクトにできるのが、自分にとっては野菜作りですね。
コミュニケーションはCSA LOOPでもキーワードです。追立さんの中でそうした営農スタイルを目指している中で、CSA LOOPを知った時、率直にどんな印象を持ちましたか?
追立さん:CSA LOOPを知った時は、農園も2人体制になり生産力も上がるので売上を上げていきたいという段階でした。CSA LOOPに最初に抱いた率直な印象は、農家ではない人たちがその仕組みを作ることに対しての驚きで、めっちゃ面白そうだなと思いました。
CSA LOOPでは、作り手、食べ手の関係性ややりとりすべてに介入しているわけではなく、その両者が円滑にコミュニケーションをとることができるような仕組みを提供しています。例えば、受け取りや配送を一元管理するべく独自のツールを用いて毎回の受け渡しやその他のイベントの管理することができます。農家が受け渡しのイベントを作成すれば、複数のコミュニティメンバーがそのイベントに希望を回答し、拠点への持ち込みが必要な数が集計される仕組みです。
追立さん:自分の中でも、CSAは農家がやるものなんだという固定概念があったと思います。だから、人の手を借りて広めることもできるんだと思いました。CSAは規模が小さければ小さいほど経営的にも時間的にも、難しいです。また市街地に近い都市農園ならまだしも、郊外の農園単体でやることはハードルが高いので、そこの旗を振ってくれるだけでもありがたいと感じます。
日本でも代表的なCSA農場であるなないろ畑※1でも研修をしていた追立さんですが、ご自身の農園でCSAを導入するにあたっては葛藤があったようです。
※1:なないろ畑とは、神奈川県大和市にあるCSA農場で、CSAの形態としてはメンバーを中心としたCSA運営を行っているのが特徴的です。
追立さん:CSAをやっている農家さんには、比較的新規就農の方が多いですね。ただ、始めたては技術、機械に加え売り先も少ないので、初期投資がしにくいというのがあります。つまりゼロからはじめて、CSAを導入するまでの体制を整えるまでが難しいんです。
追立さん:定期の野菜セットもまた、追立さんの農業の考え方でもある〝野菜を買うということはその人の畑の区画を買っていることでもある〟と考えると、CSAに似た仕組みは意外と身近にあるのかもしれません。
追立さん:CSAというワードは使っていないけどみんな土台の仕組みは似ていると思っていて、野菜を買ってもらうということは前払い、後払いなど支払い方法の違いはあれど、その農家さんを買ってくれていることでもあると考えています。
では、追立さんにとっての〝年間購入〟は何を意味するのでしょうか?
追立さん:いまはCSA LOOPに参加してCSAを行っていますが、正直、前払いに関しては多くの農家さんで葛藤があると思います。自分としては、農業を技術で売る商売というふうに考えた時に、コケてもCSAだからという逃げ道や言い訳がしやすく、買い手に対してフェアではないのではないかという思いがあります。農業の仕組みとしてはそのほうがいいとは思うのだけど。もともとこの点は自分の中でもプライドのようなものがあって、お金をもらうなら対等でやり取りしないと買い手に対してフェアじゃないと思ってしまうので、その生産力の自信がつくまでは自分としては、〝CSA〟はやらないと決めていたんです。
追立さん:ちょうど、CSA LOOPを知ったタイミングは、ちょうど就農7〜8年目くらいで、端境期以外は野菜を安定的に生産することができるようになったタイミングでした。もうすこし農園のフェーズとして早かったら、作業量、出荷量などが追いつかないという理由で、CSA LOOPはやっていなかっただろうと思います。
そこで気になるのは、年間払いが何を意味するのか?ということです。追立さんの言葉からは、農園のポリシーと抱えるリスクの間で葛藤が垣間見えました。
追立さん:大豪雨だったり洪水、台風直撃など以外は不作リスクは結構回避できると思っていて、長雨でだめでしたというのは、農業を生業にしている者としては、個人的にはできるだけ言いたくないという思いがありますね。
年間を通して、不作のリスクを一番感じるのはいつですか?
追立さん:リスクは常に感じますが、リスクを一番強く感じるのは、種撒きの時ですね。自分は9月が一番嫌いで一番元気がないです(笑)撒いたけど芽が出ないときに『来週やればいいや』にならない。1週ずれると3週〜1ヶ月くらいずれるような感じで、日照時間も減るし気温も下がりますし、撒いたそばから虫に食われるということもあります。今年は実はそうで、白菜は怪しいですね。
追立さん:春はまだ虫や病気も少なくて生長もはやいので、まだなんとかなります。秋だと撒いてだめでもう一回撒く手間との天秤になります。まばらに発芽していたりするとここ(圃場)をもどすのか、続行するかという葛藤があります。この先雨もあったり、まだ夏野菜の片付けが終わっていなかったり、草ボーボーの畑があったり、苗もつくるために水やらないいけないし、夏野菜はまだとれるし、夏の草はまだ伸びているし、台風も来るし、長雨になりやすいと作業に出れないし、どうしよう、と(笑)
追立さん:トラクターをかけるのに1時間かかって、今日午後から雨だから朝からやって、雨降るまでに種撒いて…というように、すべての経験から導き出された答えを行います。なんか、総合格闘技という感じですね(笑)それが芽を出さなかったらまじでやばい、9月の終わりから出す物がない、という不安との戦いです。そこが一番きついですね。
追立さんにとってCSAは、ある程度の技術力がついてきて生産の自信がついたからこそやっと年間購入をいただくことができるひとつの選択肢である一方、今もなお生産の現場では常にリスクと隣り合わせであるという不安に対して、CSAという手段を取っているとも言えます。
顔の見える関係性の先に
CSA LOOPでは、作り手と食べ手に新しい関係性を作っていきたいと考えています。深代さんの丁寧な暮らしやおいしさへの喜びやワクワクは、作り手の顔が見えてこそのものだとお話を伺いながら感じました。
一方で、作り手である追立さんも、ご自身の農業への思いやこだわりを直に伝えることで多くの人の価値観を変えていきたい、そのためのコミュニケーションが取れる手段としてCSA LOOPに参加されています。ここでは、深代さんの作り手への意識を紐解きます。
お話の中で深代さんがCSA LOOPで受け取る追立さんのお野菜には〝新鮮さ〟を感じることが贅沢だとおっしゃっていました。そのほかに、感じることがあれば率直に教えて下さい。
深代さん:追立さんは神奈川、広く言えば関東で農業をされていて、地域で考えると時期によってできるものって限定されるじゃないですか。今は葉物が多くて種類が違ってもどうやって食べるかという工夫をすることが求められます。ただ、スーパーに行くと、日本全国からものが集まっていて、季節関係なく揃ってたりするので、なんでも選べるのだけど、あって当たり前感があってそれほどワクワクしないんです。なので、今日だと、ディルがあると聞いて買えることがすごく嬉しいんです。(この日、ディルは野菜セットには入っていなかったが、同時に販売をしていた)
たしかにスーパーではあまり見かけませんね。
深代さん:そうなんです。マニアックなのであまり見かけないですね。妹がディルを使ってきゅうりのピクルスを作るのが好きで『最近ディルが売っていない!』とこぼしていたのを思い出して、即決で買いました(笑)
追立さんがNOG COFFEE ROASTERSさんに来るタイミングで、深代さんは毎回お時間を合わせて直接お野菜を受け取られていますが、追立さんに会うということは、味や食卓になにか影響していますか?
深代さん:味というか、やっぱり野菜を料理をする時に、追立さんの顔が浮かびますよね(笑)でも作っていらっしゃる方を実際に知っていると、野菜もその人のこどもみたいだから、大事に使おう!って感じですね。お金があっても作る人がいなかったら買えないし食べられないわけでだから、そういうことを頭の片隅に置いておくためには、作り手の顔が見える、あるいは実際に喋るというのはすごく大事なことだなって思いますね。
それから深代さんご自身がお野菜の作り手を意識するきっかけになった、ある体験をお話ししてくださいました。
深代さん:20年くらい前にスーパーで枝豆買ったときに、それがすっごくおいしかったことがあったんです。びっくりするくらいおいしかったのです。しかも、袋には農家さんの顔写真と住所まで書いてあって、本当においしかったので、葉書を書いて出したらお返事が来ました。嬉しかったですね。そこで自信を持っているんだなと感じました。なので、作っている方ともそういうキャッチボールができたら楽しいよなと思いました。ちょっと贅沢なことを言っているんですけどね(笑)
年間購入は、考え方を変えれば自分たちの年間の食糧を確保するというメリットがあるという考え方もできます。とはいえ、自然は、何があるかがわからないという側面もあります。もしお野菜がとれない場合もあるということについてはどのように考えていますか?
深代さん:不作のリスクについては、しょうがないよね(笑)目先のお付き合いではなく、年間という経済活動のわかりやすい単位で、ならして考えればいいのかなと思います。
深代さん:すごく大変だと思うんですよ。天気だったり、虫だったり。
そこに想いを馳せることができるのって簡単ではないように思うんです。実体験として畑での作業があって実感するのかなと思ったのですがその点はいかがですか?
深代さん:私の古い友人の大親友で成田市で農業をしている人がいて、そこに何度も収穫体験をしに行ったりお話を聞いたりしているんです。でも、収穫だけでも時間が結構かかったりする。収穫なんて一番おいしい作業をさせていただいているが、それでもすごい大変でへとへとになって(笑)そのあと洗ったりなど生産にはもっと工程があるんだというのが、ちょっと、わかったんです。
そうだったのですね。たしかに、収穫作業もやってみると想像よりハードですよね。深代さんの食への丁寧さも少し紐解けた気がしました。
CSA LOOPは他のメンバーとの関わりを持つこともできます。先日はみなさんににんじんの葉っぱを乾燥させたものをコミュニティでシェアされていましたね。薬味で使うと香りが良さそうでした。あれはどこかで教えてもらったのでしょうか?
深代さん:そうですね。追立さんにもにんじんの葉っぱの食べ方とかもたくさん教わって、また今日もあのパリパリを作らないとです(笑)あと、そのにんじんの葉っぱの話を友達に話したら、インド料理で、ひよこ豆の粉と若いにんじんの葉っぱとスパイスのかきあげのようなお料理のレシピを教えてもらったので、それを作ってみたいなと。明日作るのでシェアもしてみようかなと思います。
この日も、長野県の知り合いの農家の方からいただいたという〝赤いルバーブ〟を、受け渡しに持参してコミュニティにお裾分けしていた深代さん。全員拠点に受け取りに来ていた日でもあり、メンバー同士の交流や食を楽しむ輪が広がっています。
深代さんがにんじんの葉っぱの話をご友人にしたように、追立さんの思いもそこにありました。
追立さん:くちぐちに、「わたしはここで買っているよ」などと身の回りで伝えて欲しいですね。その延長線上に、包装や野菜の見た目などの話も、「おいしいから良くない?」という会話が生まれるといいなと思います。
追立さん:コミュニティのメンバーさんには、いつもみなさんポジティブに受け取ってくださって、ネガティブなことは一回も言われたことがないですね。自分自身も等身大で接していて思ったことをそのまま言っているタイプなので、そこのストレスは全くないというのは、農家として、やりやすさはあります。
追立さんにとって、農業は単なる食材を超えた人と人とのキャッチボールのようなもので、価値観が伝播することに価値を感じているようにも思えました。最後に、CSA LOOPを通して築きたいコミュニティの関係性をお伺いしました。
追立さん:繰り返しになりますが、農業は生産業とは思っていなくて、サービス業だと思っています。畑を買ってもらって楽しんでもらうサービスというイメージです。だから気持ちよく楽しんでもらいたいからホスピタリティは持っていたいですね。お客様というよりゲストという扱いをしたいです。なので、もし意見があったら言って欲しいなとも思います。自分が気づけない部分を知ることができるし、そのように育っていく関係性がいいコミュニティだなと思います。
NOG COFFEE ROASTERS Shinagawa
10:00〜17:00
なし