素敵な作り手との出会い「オーガニックファーム所沢農人」

feature

毎週この日は、いつものマーケットへお出かけ。
おなじみの農家さんから野菜を買ったり、キッチンカーの美味しい料理を楽しんだり、ついでにちょっとした立ち話も。

マーケットを通じて、
食の世界が深まり、暮らしが豊かになる。
人と人の輪が広がり、街が明るくなる。

小さな幸せの循環、はじまりは素敵な作り手の出会いから。

今回は、東銀座で開催している歌舞伎座 朝市に出店いただいているオーガニックファーム所沢農人(のうと)の川瀬さん。10問10答形式を通して、これまでの取り組みや、人や街との関わりの中で大切にされていることについてお伺いしました。

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    Daisuke Suzuki

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    Daisuke Suzuki

Q1. どのような活動をされているのですか

埼玉県の所沢市で有機農業を始めて5年目で、年間約150品目の野菜を栽培しています。
始めた当初は野菜作りに力を注いでいましたが、ここ数年は野菜を活用した加工品作りと、お客様や地元のビール工場などと一緒に進める堆肥作りの3つの活動を柱にしています。

なぜ埼玉県の所沢市だったのでしょうか?

食卓に野菜を届けたいと思っているので、消費者との距離の近い都市近郊で農地があるところを探していました。新規就農する前に別の農家で研修をしていた時に所沢に住んでいたこともあり、この場所で始めることにしました。

お野菜はどのように販売されているんですか?

野菜詰合せセットの宅配と、マルシェへの出店で販売をしています。自然環境によって予定通りに野菜ができたり、できなかったりする事実と向き合うのが生産側の醍醐味だと思っており、畑のありのままを伝えたいので、その時々で収穫できる野菜を届けられる形を選んでいます。

Q2. 農業を始めようと思われたきっかけはなんですか

子供の頃から生き物が好きで、両親が家庭菜園をしていたこともあり、野菜や畑、自然が身近だったことが大きいですね。

高校生の時に一冊の本をきっかけに生態学に興味をもって、大学・大学院で生態学を学んでいたこともすごく影響していると思います。その頃は有機農家さんの畑を訪れて、農作業の手伝いもしていたりして…。

大学院を修了した後はメーカーの物流部門に10年ほど勤めたんですが、改めて農業をやりたいなと思い切って取り組み始めました。

Q3. こだわりや大事にされてきたことはありますか

「食」と「美味しい」と「コミュニケーション」の3つです。

“食卓”が豊かになることを考えたときに、単なる原料としての野菜は作りたくないなと。色んな特徴を持った旬の野菜をお届けしたいと思っています。

ただ“美味しい”って、例えば誰かと喧嘩した後にかじるピーマンと、僕が美味しいと言って手渡したピーマンだったらたぶん味が違う。料理のレシピやシチュエーションなど自分ではどうにも出来ない部分もあるからこそ、僕は生産者として“美味しい野菜を作る”ことをやっていきたい。

「食」「美味しい」という言葉には食卓に対する川瀬さんの想いや姿勢が込められているのですね。「コミュニケーション」についても教えていただきたいです。

野菜を作る過程で、野菜とも関わるし、周囲の環境とも関わるし、野菜を食べてくれる人とも関わる。そうした関係性を大切にしたいと思っています。

Q4. なぜマーケットに参加されているのですか

もちろん収入を得ることも理由の一つですが、僕の野菜を食べてくれる人と直接コミュニケーションが取れるからです。実際にお話をしないと伝わらない部分もあったり、お客様の声を聞けなかったりもするので。

あとは、お客様だけではなく、マーケットの出店者や運営者、その地域に関わりのある方々など色んな繋がりができるのも良いと思っています。

Q5. お客さんとの印象的な思い出やエピソードはありますか

大きなエピソードというよりも、僕の野菜を求めてわざわざ来ていただけるリピートの方の会話が嬉しいですね。ご夫婦とか、女性の方が中心になるかなと思いますが、こないだ買った野菜はこういう料理にしてみたとか、今日はこの野菜がおすすめですよとか、そうしたお話を皆さんとしています。

Q6. そこで生まれた関係は現在の取り組みにも繋がっていますか?

お客様ではないのですが、マーケットで出会った出店者との関係性は、活動の一つである加工品作りに繋がっています。美味しいと思ったその道のプロの方に僕が作った野菜をお願いして商品を作っていただいています。

ーにんじんドレッシングも作られていましたよね。他にはどのような商品を考えられているのですか?

まだ構想段階のものもあるので、いつお届けできるのかはわからないですが、ジンジャーシロップやパン、スープカレーなどを考えています。いずれもマーケットで繋がった方々と一緒に取り組んでいく予定です。

Q7. 人や街との関わりで大切にされていることはありますか?

地域や地元などと身近であること、子供や若い人を大切にすること、そして自分自身も若い気持ちであることを大事にしていきたいです。

今後の街や農業のことを考えると、やっぱり子供たちは大切な存在ですし、野菜や自然に触れる機会をもっと提供していきたいです。同時に、僕自身も若い方に負けないくらい挑戦する気概を持っていたいと思っています。

Q8. これからの街にはどのようなマーケットが求められると思いますか

「上質なコミュニケーションの場」だと思っています。不特定多数の誰かではなくて、人と人が顔を合わせて、特定の誰かとコミュニケーションがとれることは上質なことだと思っていて。

僕の場合にはマーケットの出店者との関係性から加工品の取り組みが始まったりしていますし。堆肥作りも、CSA LOOPで繋がったお客様や飲食店、あとは地元のビール工場などから資材を提供してもらって、顔の見える関係性の中で一緒に取り組んでいます。そうした稔りや価値がコミュニケーションの先にあることを期待しています。

Q9. そのために所沢農人さんとしてはどのような挑戦をしていきたいですか?

引き続き、目の前のやるべきことをやりつつ、新しいことに対してオープンな姿勢でありたいです。

「所沢の畑から皆様の食卓までが有機的につながる野菜作り」という考えからはブレずに、新しい場や機会を通して、多様な人との繋がりや次への取り組みの種を生んでいければと思います。

Q10. 「良いコミュニティ」とはどのようなものだと思いますか?

まさに生態学なんですが「持続性があること」と「多様性があること」だと思っています。

野菜作りもそうですし、マーケットもそうだと思うんですけど、色んな人が関わる方が良い。その繋がりから新しいものが生まれて、結果的に持続性にも繋がっていくのかなと。

僕自身は農業という手段で、そうしたものを作っていきたいと思っています。

下記はオーガニックファーム所沢農人さんのHPのはじめに記載されている言葉

旬のおいしい野菜を通して、所沢の畑から皆様の食卓までが有機的につながる野菜作りを行っています。野菜と土と自然環境と、そして皆様と向き合って、食卓が豊かになることを旬のおいしい野菜たちに期待しています。

畑を始められた頃からずっと変えていないそうです。畑から食卓へ、食卓から畑へ。一貫した想いで農業に取り組まれ、人との繋がりから輪が生まれている、川瀬さんの強さと温かみを感じられた一時となりました。

オーガニックファーム所沢農人

住所:

埼玉県所沢市