イベントレポート/サンシャインジュースから学ぶ循環と対話

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1.2 mile community compostでは、環境や循環などについて様々な取り組みを行っている方にお話を聞き、知見を広げコミュニティの価値を向上しています。見聞きしたことをコミュニティで共有することによって、さらなるアイデアの創出につなげています。

  • Photo:

    Yuri Utsunomiya

  • Text:

    Nao Tsuchiya

はじめに

はじめまして、1.2 mile community compostに参加しているNaoです。

コンポストを始める前、サンシャインジュースのnoriさんの「土と宇宙の話」というnoteを読ませていただいていました。そこには、ジュースの搾かす=残渣を堆肥にしていること、そして「土壌って限界がない、まさに宇宙だ」と書いてありました。ベランダ菜園をしている私は共感をしつつも、それにしても土壌と宇宙をつなげるとは、どんな方だろうと思っていました。そのnoriさんをお迎えしての「サンシャインジュースを飲みながら地球温暖化を考える会」を今回レポートします。

美味しいからはじまった素敵な朝

「おはようございます、noriです。是非飲んでください」と、お持ちいただいた2種類のジュースをマイカップに入れて、トークはスタートしました。

2種類のジュースは、”ハートビート”と”サワールバーブ”。ハートビートはマラソン日本記録保持者の大迫傑選手と共同開発された、ビーツや生姜、カフェインなども入ったジュースで「目が覚める!」という声があがっていました。サワールバーブはピンク色が綺麗なジュースで、「こんな色や味なんだ!」と驚きも。何より美味しさに、場がふぁっと和やかになった中で、noriさんが話し始めたのは、サンシャインジュースのお話、そしてジュースに使ったルバーブからみえる地球温暖化のことでした。

サンシャインジュースの循環

サンシャインジュースは、新鮮な野菜や果物をコールドプレスという方法でそのまま搾り取った、一切水を入れないジュースだそう。それにより、栄養素を損なうことなく抽出でき、さらに固形ではなくジュースという状態で摂取することで、内臓を休めることにもなるそうです。また、ジュースを作る時に必ず出る残渣をどうしたらよいかと考え、今は次の3つのことをされているそうです。

残渣の活用
①食べる
②染める
③コンポストする

①食べる
ベーグルに入れるなど試行錯誤を繰り返した結果、「煮出す」という方法をとることで、熱によって味や栄養素がしっかりとれるスープができたそう。

②染める
バッグやエプロンを残渣で染めるというもの。「Lefts, tokyo」で展開されているそれらは、鮮やかな緑やピンクで美しく、体にいい野菜たちは肌にも優しく纏えるとのことでした。

③コンポストする
堆肥や土壌研究の第一人者である橋本さんの協力のもと、コンポストと畑をされているそう。水分・温度管理をし、発酵させて出来た堆肥は培養土にして販売したり、畑の野菜も販売していて「これがサンシャインジュースの行っている循環です」と教えてくださいました。「実は…その『堆肥』のInstagramアカウントも」とnoriさん。「堆肥のアカウント?」と思う方が多いかと思うのですが、コンポストと日々向き合う1.2 mile コミュニティの面々は興味津々で、その場でフォローしている人もいました。

ルバーブから見える地球温暖化と自分ごと

同じくnoriさんが大事にしている事が、農家さんに会いに行く事とのこと。ジュースに使われているルバーブの産地である八ヶ岳は、標高が高く、1日の中でも寒暖差が大きい。それがルバーブを赤く力強いものにしているそうです。先日、その農家さんと畑で話をしていたら、枯れて置かれていたルバーブが目に入ったとのこと。聞くと、今年は必要な水分も、暑さで寒暖差も思うように生まれずで、「こんなことは今まで一度もなかった」と農家さんは言ったそうです。

参考記事:ルバーブの農家さんを訪ねて感じた地球のピンチについて

「ニュースで温暖化の影響について言われているが、今、農家さんはそれを目の当たりしている。それを見た自分も、明らかにピンチで、何かしなければと思った」とnoriさん。そして「それはルバーブ畑からだけではなく、日々の生活でも感じることですよね」とコミュニティからも。「サーフィンに行くいつもの海で、今年の夏はウェットスーツを着なかった。それは確実に温暖化が進んでいるという体験。子ども世代に何を残せるかと真剣に考えます」そう答えた人もいました。

「選択肢がある」ということ

今回は、noriさんからこんな問いがありました。

「消費者の立場として地球環境に取り組めること」とは?

コミュニティからは、B級品を選ぶこと、地産地消、量り売り、プラスチックフリーなど、日々取り組んでいる事柄があがりました。同時に「心地よい範囲で」、「選択肢があることを知る」、「何故それを選んでいるか理由を持つ」等の声があがっていたのが印象的でした。

noriさんも「選択肢って大事」と声に耳を傾け、サンシャインジュースでも、消費者が選択できるオプションを提供しているとお話ししてくださいました。例えば、マイボトル利用は勿論のこと、店舗ではリユース可能なガラスのボトルも販売しているそう。それらを利用すると「最大100円も!(大事!)」ディスカウントがされるんだとか!ボトルを持っていなかったり、パッケージ自体が好きな人には、プラスチック容器でも売っているとのことでした。「それぞれの生活の中で、考えや体験の中で、選んでもらえたら」という言葉に、コミュニティの仲間も頷いていました。

対話と信頼

今度はコミュニティからnoriさんへのこんな質問がありました。

農家さんを選ぶときに何を見られているのですか?

即答で「人です」と答えたnoriさんは、こんな話を。

「 農家さんとは、いろんな話をする。もちろんジュースの話もする。でも、仲良くなった農家さんとは、サーフィンなど趣味の話もしたりする。」とnoriさん。ある時、ふらっとビーツが欲しいという話をしたら、なんと育ててくれることになり、こちらで買い取りますという話をして、さらに距離感が近づいたり。

そんな対話のきっかけは、サンシャインジュースを始めた当初まで遡ります。野菜の仕入れ方なども分からず、インターネットで「野菜・オーガニック」など検索していたものの、ついには実際に農家さんに足を運んで聞いてみたり、道の駅に張り込んで農家さんに話しかけることを始めたそうです。すると、ある時道の駅で声をかけた女性が地元中学校の校長先生で、彼女が次から次に紹介してくださって、農家さんにつながったそうです。

話をして関係を築いていく。それを続けた結果、質や味はいいのに流通していない商品があることを知り、その信頼関係のもと譲ってもらっているものもあると言います。先日はある農家さんが「糖度が基準より高いから」という理由で梨を出荷できないということがあり、糖度が高いなんてもうジュースにはぴったりで、その場で「買わせてもらいたい!」とお願いしたというエピソードもありました。

「既存の流通の流れに乗った瞬間に、規格外になるものがあるということも農家さんが教えてくれました」とnoriさん。

きっと「そのビーツ買います!」と言うことができ、「ルバーブが大変だ!」とすぐ動くnoriさんだからこそ、双方向から生まれる信頼なんだと、メンバーと振り返りました。

植物も人間も “you are what you eat” なんだ

サンシャインジュースのコンポストは、野菜や果物が入っていて、いわゆるヴィーガンコンポストだそうです。

少し前にビーツを畑で作った際に実験的に畑を二分し、1つは動物性堆肥、もう1つはサンシャインジュースの堆肥を利用して栽培をしてみたところ、結果前者はごろっとして数も大きさもある一方で、後者は小ぶりで数も少なかった。しかし、ジュースにしてみたら、9割の人が後者の堆肥の方が美味しいと言ったとのことでした。この結果は良し悪しではない。「プロテインを飲んで筋肉もりもりの人と、野菜中心の食生活を送る人の体が違うように、野菜も土によって違ってくるということを表している」とnoriさん。植物の素直な反応に驚くとともに、何を食べるかという選択と等しく、どんな土でできたものを食べるか、もあることを知りました。

私たちも堆肥を使って育てたい、食べたい

今回言葉を交わしながら至ったことは「自分たちの堆肥でできたものを食べたい。循環させたい」という事でした。イベント終了後、それぞれ自宅にある熟成中の堆肥をコミュニティコンポストに入れたのですが、そこでも「この堆肥を使って、何か育てて食べたいよね」「七草いいかも!」など、自然と会話をしていました。

風もすこし冷たくなりつつある初秋、すでに拠点に持参された先輩堆肥は、そろそろ完熟しそうです。次はそれを実行に移す時。1.2 mile community compostの一員として、コミュニティでできる循環をこれからも考えていきます。

サンシャインジュース、noriさんのリンクはこちらから。
Instagram  @sunshinejuicetokyo
note  nori #stayjuicy

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