イベントレポート/「オニバスコーヒーのおいしさとたのしさ」

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1.2 mile community compostでは、第一線で活躍されながら環境や循環などの取り組みもおこなっている方々にお話を聞き、知見を広げるとともにわたしたちの次のアクションや価値観のきっかけになる機会を設けています。ゲストの取り組んでいる製品づくりへの考え方やビジネス面との兼ね合いを紐解きながら、自分たちの生活に置き換えたときにどのように応用できるかを発見することを目的としています。

  • Photo:

    Yuri Utsunomiya

  • Text:

    Yuko Asakawa

今回は 千駄ヶ谷1期のメンバーである浅川裕子さんにONIBUS COFFEEでのイベントについてレポートを寄稿いただきました。

はじめに

「STAY HOME」が盛んに呼びかけられて、家で過ごす時間が増えた一昨年。ハンドドリップでコーヒーを淹れたりする時間が癒しの時間になりました。同じとき、日々の暮らしの中でできる「人にも地球にもやさしい」取り組みを調べており、コーヒーをドリップした後のコーヒーかすを「生ごみ」として捨てるのがもったいないな…と思ったことをきっかけに、コンポストをはじめました。私の暮らしになくてはならないものとなったコーヒー。コーヒーが生み出されて、カップに注がれるまでのプロセスも「人にも地球にもやさしいもの」であるために、自分にどんなことができるだろう。お店のある街に溶け込み、多くの人が集うONIBUS COFFEE。コミュニティ・コンポストをつくっていく上で、何か繋がることがあるかもしれないな。そんなことを考えたくて参加しました。

コーヒーは、実はとってもカラフル

お話くださったのは、ONIBUS COFFEEの坂尾オーナー。ONIBUS COFFEEでは「スペシャルティ・コーヒー」にこだわり、坂尾さん自らグアテマラやルワンダの農園へ足を運び、「ここぞ」と思った農園からコーヒー豆を輸入されています。「スペシャルティ・コーヒー」は日本に輸入されるコーヒー豆の10%ほどしかなく、かなり希少です。豆の種類・産地だけでなく、「精製」「焙煎」「挽き方」「抽出」の方法で風味は全く変わるそうで、その掛け合わせによって生まれる風味の多様さに驚きました。今回は、3種類の異なるコーヒーをテイスティングし、「シトラス」「赤ワイン」といった、テロワールと呼ばれる、味わいを表現する手法を使ったワークショップを行いました。コーヒーってとってもカラフルなんですね。

「おいしさ」が生み出す価値観

お店の名前“ONIBUS“はポルトガル語で「公共バス」を意味しています。

「コーヒーを通した人と人の繋がり」という思いを込め、お店が一つの媒介となって、その街に暮らす人や訪れる人と価値観を共有し、その価値観に共感する人やお店がさらに周りに集まる、そんな店になりたいというお話が印象に残りました。きっと「おいしさ」が訪れる人の心を動かして、人と人を繋げているのだろうなと思います。

「おいしさ」も「人にも地球にもやさしい」も、両方を大切にしたい

コーヒーを選ぶときに、「レインフォレスト認証」「フェアトレード」など、さまざまな目印がある中で、どのように「人にも地球にもやさしい」コーヒーを選んだらよいかわからない…そう思ったことはありませんか。坂尾さんに聞いてみました。

——— 一番確かなのは、「信頼のできるお店から買うこと」。

なるほど。お店を探し歩いて、お店の方と話をすることを通して、コーヒーを「つくる」人の思いやストーリーを知ると、もっと、コーヒーとともにある暮らしが楽しくなりますね。

いまや「サステナビリティ」「エシカル」「フェアトレード」「SDGs」という言葉を当たり前のように見聞きするようになりました。あらゆる情報や選択肢が溢れる中で「何をどう選べばいいのか」「取り組みを続けること」の難しさを感じてきました。その中で「つくり手への信頼」はとても分かりやすく、そのプロセスを通して生まれる新たな出会いが楽しみになる、そんな判断の基準です。また、ONIBUS COFFEEの提供するコーヒーの「おいしさ」に心動かされて、人と人が繋がるのに似て、「楽しさ」も人と人を繋げるものなんだと気づきました。

1.2 mile community compost では、コンポストを生活に取り入れたい/取り入れている50名のメンバーが集まって、お互いのコンポストを見せて相談したり、拠点にみんなの堆肥を集めて一緒に菜園をしようと計画したりしています。私も、忙しいとき、疲れたとき、余裕がない時、自分のことで手一杯になってしまってコンポストのお世話をするのが億劫になってしまうときがあります。

それぞれの人が「ちょうどいい」ペースで、「楽しく」取り組めるということが大切なんだ。「楽しさ」で人をつなげ、人の輪が広がっていく、そんなコミュニティをつくる一員になっていければいいな、コーヒーの魅力を再発見しただけでなく、素敵な気づきをもらった時間でした。